恐ろしいことに、ジャイルズの説教はあれから三十分以上にも及んだ。スレイヤーとしての使命がどうとか、戦い続けなければならない所以だとか、蔵書の内容を丸ごと鵜呑みにしたような文句を延々と並べ立てられ、まだなんにも食べていないのに、これだけでお腹いっぱいになってしまった。
「二度とバンパイアと戦わないって言ってるわけじゃないわ」
 ジャイルズの説教がようやく一段落したところで、バフィーが反論した。
「でも、奴らに愛着を感じてるとかってわけでもない。だから無理に探し回る気はないだけ。もし出会ったら、すぐにも…」
「——戦うか?」
 ジャイルズの目がギラッと光った。
「君は、奴らのことも自分の能力も分かってない。バンパイアは普段は完璧に人間を装い、獲物を目の前にして初めて本性を現すんだ…」
 バフィーは思っていた以上に実のない説教に呆れ果てた。
「だから何よ。あたしだってそれくらい知ってる」
「だが、スレイヤーは——」ジャイルズはバフィーを無視して続けた。「どんな状況でも、奴らを見抜ける。目を凝らさなくても、見えるんだ!この中に、バンパイアがいれば分かるか?」
 バフィーはバルコニーから子供たちでごった返す大広間を見下ろし、弱々しく頷いた。「……多分ね」
「それじゃダメだ!——こんな人混みと騒音の中でも、奴らを感じ取れなくては。さぁ、やって。感覚を研ぎすまし、体でエネルギーの波を感じるまで集中しろ……」
 言われるがままに階下を見渡した。愛嬌のあるいたずらに盛り上がるグリフィンドール生、虐められっこを指差しはやし立てるスリザリン生、授業について熱っぽく語るレイブンクロー生、たわいのない世間話に花を咲かせるハッフルパフ生、ダンブルドアのお茶目なジョークに手を叩いて盛り上がる、教職員テーブルの先生方……。
「……気配で…そこにあるものを——」
あそこにいた!
 バフィーは出口に近いグリフィンドールテーブルを指差した。バンパイアの見分け方を論じるのに真剣になっていたジャイルズは、すぐには対応できず、本日最大のどもりをつけた。「ど、どど、どれ?」
「あれよ!女の子と話してる」
 バフィーが示したのは、見たところ十六、七歳のハンサムな男の子だった。埃っぽい色のジャケットに、赤地に黄色い花柄のシャツ。赤毛の女の子を口説き落とそうとして、しきりに話しては快活に笑っている。バフィーは自信満々だったが、ジャイルズは疑わしそうな顔をした。
「…なぜ分かる?」
「分かるわよ!ジャケット見て」バフィーはじれったくなった。「それにあのシャツ!時代遅れもいいとこだわ」
「そうかなぁ?」
 ジャイルズが擁護した。
「決まってんじゃん。マジで。今時あんな格好十年地下にでもいなきゃできないって」
「判断の基準が…どうもなぁ……」
 ジャイルズの賛同は得られなかったが、バフィーはほとんど確信していた。もう一度『多分バンパイア』に目を向け——思わず呼吸が詰まった。二人組が人の流れをよけて向きを変えた時、女の子の方の顔が見えたのだ。病弱なほど白い肌に、大きな目、たっぷりとした長い赤毛。見間違いではない。
「……まずっ…」
 バフィーが息を呑んだ微かな音を聞き取り、ジャイルズが眉をひそめた。バフィーの視線の先を辿り、女の子の姿をとらえる。バンパイアがスッと手を伸ばし、女の子の顎にきざったらしく触れたところだった。
「あれは?」
ウィローよ」
「何してるんだ!?」
「『チャンスを掴んでる』んだわ!」
 ウォッチャーが指示を下すまでもなかった。ジャイルズがバルコニーでオロオロしている間に、バフィーは階段を一段飛ばしで駆け下り、大急ぎでフロアに戻った。しかし大広間は自分よりも遥かに背の高い人々で満たされており、この目線から二人を見つけるのは不可能に近かった。バフィーが途方に暮れている一方、バンパイアはウィローの手を引き、人混みの間を縫うようにしてどこかに姿をくらましてしまう——。

 ここにいてはまともに動けないと結論したバフィーは、いちばん近い裏口から外の廊下に飛び出した。すると、今までの喧騒が嘘のように遠ざかり、薄暗い静寂の中に包まれた。バフィーは通路の脇に積み上げられていたテーブルの脚を一本へし折り、杭の代わりに強く握り締めて先へ進んだ。
 大広間から遠ざかるにつれて、あたりはますます暗く、静かになった。一歩一歩、確かめるように踏みしめていく。ここは他の廊下と違ってじめじめしていて、とても居心地が悪い。バフィーは湿っぽい床を足早に通り過ぎ、曲がり角の手前でハッとして速度を緩めた。どこかから、微かに何かの動く気配がする。さっきのバンパイアだろうか…。
 バフィーは杭をかざし、意を決してバッと角を曲がった——が、そこには延々と続く薄暗い通路が敷かれているだけで、人影のようなものは見当たらない。でも、気配は止まない。バフィーは引き続き神経を研ぎすまし、針の落ちる音すら拾い上げようと耳をそばだてた。すると今度は二、三歩後ろのドアの向こうから、誰かの笑い声が聞こえた気がした。バフィーは冷や汗の滲む手で杭を握り直し、体当たりをするようにドアを押し開けた。だが、またはずれだ。掃除用具庫か何かのようで、人が入れるほどの広さすらない。張りつめていた緊張がゆるりとほどけ、思わず溜め息が口をついて漏れ出した。
 バフィーは再び暗がりの廊下を進んだ。ホグワーツの通路は複雑に入り組んでいるので、今自分が向かっている先がどこに繋がっているのか想像もつかない。城のどこかから吹き込むすきま風が、ところどころに点された松明の灯りを揺らす。通路を進む自分の影が、まるで独自の意思を持っているかのように、持ち主を差し置いて激しく躍り上がっている…。
 突然、廊下の空気が不穏に掻き回され、背後に人影が現れた。バフィーは反射的に振り返り、その首を掴んで近くの壁に押し付けた。そしてもう片方の手で高々と杭を振りかざし——。
「…コーディリア!?
 揺らめく松明に照らし出されたのは、ブルネットの美少女のひどく怯えた顔だった。バフィーはギョッとして手の力を緩めた。
もう!どんな育ち方したのよ!!
 コーディリアはバフィーの手を振り払うと、髪を振り乱して喚き散らした。彼女の後ろから、取り巻きのスリザリン生があんぐり口を開けてこちらを覗き込んでいる。バフィーは胃袋がぎゅっとしぼんでいくのを感じた。
「…あんたたち、ウィローを見なかった?ここ通ってない?」
 一応聞いてみたが、取り巻きの女子生徒は三人とも恐怖で口がきけない状態だったし、コーディリアは怒り心頭でまともに取り合ってくれそうになかった。
「なぜ!?その杭であの子を襲うつもり?」
 バフィーは言い返すこともできず、逃げるように来た道を駆け戻った。背後から聞こえるコーディリアの憤然とした宣言を内臓がよじれるような思いで聞きながら。
「……まったく…ちょっと失礼。今すぐ知り合い全員に手紙書かなきゃいけないから!」

 スリザリン生の前で本性を曝してしまい、完璧に打ちのめされたバフィーだったが、初日にして破綻してしまった学校生活を思って胸を痛めている暇はなかった。一刻も早くウィローとバンパイアを見つけなければならない。急いで大広間に戻ると、ホグワーツ生のけたたましい騒音が再びバフィーの頭をひっぱたいた。背伸びをしながら人々の頭の間にウィローとバンパイアの姿を探すが、案の定どこにも見当たらない。なす術もなく広間のど真ん中でオロオロと立ち尽くしていると、ジャイルズがいち早くバフィーの姿を見つけ、生徒たちの群れを掻き分けながら駆け寄って来た。
「早かったな、結構」
 焦燥するバフィーとは裏腹に、ジャイルズの声はもう落ち着きを取り戻していた。
「わたしはこれから図書室へ戻って、例の『収穫の日』について——」
「見失ったの!」
 バフィーが振り向きもせずに言った。ジャイルズは血相を変え、バフィーの腕を掴んで引き止めた。
「じゃ……バンパイアは生きてるのか?」
「そ。で、あたしは早くも変人扱い」
 口早に言いながら、バフィーはまた大広間を見渡してキョロキョロした。
「どうする気だ?」
 ジャイルズは目に見えてうろたえていた。緊張して声が上ずっている。
「あたしに任せて」
「わわわ、わたしも一緒に行こう……」
大丈夫よ!」しつこいジャイルズに痺れを切らし、バフィーはとうとう声を荒げた。
「一人ぐらいなら、なんとかなるわ」




†††




 スレイヤーが荒々しく過ぎ去ったレイブンクローのテーブルの前で、ジェシーは一人の女の子に目を奪われていた。楽しげにおしゃべりするレイブンクロー生を眺めながら、ニコニコとかわいらしい笑顔を浮かべている。コーディリアとは全く違うタイプで、見たところ、ジェシーよりもうんと年上だった。なめらかなブロンド、ふっくらとした唇、すべすべした白い肌——傷心していたジェシーの目には、美しい彼女の姿は白く光り輝いているかのように映った。
「ねえ、君。名前、何てーんだっけ?」
 ジェシーが声をかけると、女の子は赤く塗った唇に妖しげな笑みを浮かべて振り返った。
「…ダーラよ」
「ダーラか!」
 ジェシーはまるで「本当は知ってたけど、今思い出した」とでもいうような様子を取り繕った。
「でも今まで会ったことないね。寮はレイブンクロー?」
「いいえ。でも、兄弟がいるわ」
 ダーラはニヤッと笑った。ジェシーはちょっと考え込むようにそっぽを見つめた。
「俺、知ってるかな?」
 ダーラはまともに答えず、さあねとばかりに首を傾げた。茶目っ気たっぷりに微笑んで、明るい声で提案した。

「——会わせてあげる」




†††




 ブクブクと沸き立つ血の池の前に、一匹のバンパイアが跪いている。そこは墓場の地下をくりぬいて作ったようなところで、壊れた棺桶があちこちに打ち捨てられていた。赤々と燃え上がる松明や古びた燭台のそばには、手下のバンパイアが何匹か、緊張した面持ちで池の様子を見守っている。絶えず泡を吹く真っ赤な水面を覗き込みながら、バンパイアは何かよからぬ期待に胸を躍らせ、そわそわと両手をこすり合わせた。
 赤い水面がいっそう激しく揺れた。次の瞬間、水しぶき一つ上げずに、池の中から一人の男が姿を現した。薄汚い灰色をしたしわくちゃのバンパイアで、頭髪はなく、ひどく老いている。そいつはゆっくりと力ない足取りで陸に上がると、洞窟の中を見渡しながらしもべの前に立ち止まった。痩せ細った骨ばかりの手を差し出すと、しもべは恭しくその手を取った。
「マスター…」
 しもべがうめくような嗄れ声で呼びかけると、マスターは静かに血なまぐさい息を吐き出した。
……わたしは弱い…
「『収穫の日』が来れば元に戻ります」
 しもべはサッと立ち上がり、土の祭壇から下りるためにゆっくりとマスターの手を引いた。
『収穫の日』か…
「あと少しで自由になれますよ」しもべは卑しい笑みを浮かべてささやいた。
 マスターは洞窟の出口にろうのような手をかかげた。すると、まるでそこに見えない水面が垂直に立ちはだかっているかのように、触れたところの景色がぐにゃりと歪んだ。
準備しなくては……もっと力がいる…
「遣いの者に獲物を用意させてます」
…よし……ルーク
 マスターはひどく枯れた声でしもべを呼び止めた。
「何か?」
…できたら若いのを頼む……
 ルークはしわくちゃの醜い顔に、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべてみせた。




†††




 一人前を遥かに超える御馳走で腹を満たしたハリーとロンは、ご機嫌で大広間をあとにした。時刻はちょうど午後八時を回った頃で、この時間にもなると、大広間は徐々に閑散とし始める。城の外は完全に日の目を失い、校庭を囲むうっそうとした森は、おぼろげな月の光だけを受け、昼間以上に気味悪く浮かび上がっていた。
「今日、ザンダー来なかったね」
 先が詰まってなかなか進まない廊下にのんびりと並びながら、ハリーが言った。
「ウィローと一緒だったんじゃないかな?あの二人、幼馴染みだったんだろ?」
 ロンはあまり心配していない口ぶりだった。奥歯に野菜の繊維が挟まったらしく、しきりに舌を動かしている。
「僕思うんだけど、ウィローって、きっとザンダーに気があると思うんだ」
 ロンはハリーを横目に見てニヤッと笑った。「まぁ、そのザンダーは転校生に夢中なんだけどね」
「おい、冗談だろう!できそこないの『負け犬』が、退学候補の転校生に片想いだって?」
 冷たくせせら笑う声が聞こえるなり、ハリーとロンの人のよさそうな顔に嫌悪感がむき出しになった。振り向くと、顎の尖ったプラチナブロンドのスリザリン生が、意地悪そうな筋骨隆々の二人組を従え、ハリーとロンのすぐ真後ろを歩いていた。二人とも自分たちの話に夢中で、背中にずっと天敵をくっつけて歩いていたことすら気がつかなかったのだ。
「マルフォイ、」ハリーがさっそく噛みついた。「ザンダーとバフィーをそんな風に侮辱するな!」
 ドラコ・マルフォイは腰巾着の一人と目を見合わせて笑った。
「なんだ、ポッター。君、もうサマーズのとりこになっちゃったのかい?気をつけた方がいいよ。忠告してあげてるんだ。君たちの粗末な寮に放火される前に、学校から追い出してしまった方が身のためなんじゃないかい?まあウィーズリーにとっては、ちっぽけな塔の残骸の上で寝ることになっても、実家のベッドに比べれば遥かにマシなんだろうけどねぇ…」
 ロンはすかさずつかみかかろうとしたが、ハリーがローブの裾をガッチリ捕まえてそれを阻止した。
「そうだ。しっかり押さえつけておけよ、ポッター。仲間に問題児が一人でも増えたら、グリフィンドールの得点はこれから先ずっと右肩下がりだろうから。ほら、たとえば、LAの学校を退学になって転校してくるような——」
 しかし、ハリーの意識はすでにマルフォイの向こう側に飛んでいた。
「おい、ロン……あそこを見て…」
 マルフォイの嫌味を遮り、ハリーはロンに囁いた。ロンがハリーの指差す方向に目を向けると、窓の向こうに広がる夜の校庭を、暗い森に向かって横切っていく人影が目についた。ウィローだ。ハリーの知らない年上の男の子と一緒にいる。
「ザンダーじゃないよ!」
 ハリーは興奮した。マルフォイとあと二人のことなど、すでに頭から消し飛んでいた。
「やっるぅ!男の子と夜に学校を抜け出すなんて、大人だ!」
「それにあっちは『禁じられた森』——」
 ロンの言葉は最後まで続けられなかった。そばかすだらけの顔がみるみる青白くなり、ついにマルフォイとほとんど同じ色になってしまった。
ウィロー!
 二人は顔を見合わせて叫ぶと、茫然とするマルフォイを押しのけ、生徒の列をかき分けて城の外に飛び出した。
 



†††




「……ほんと暗いわ…」
 ざわざわと身をよじる木々を見上げ、ウィローが呟いた。夜の森はとても静かで、ウィローのささやかな呟き声さえよく響き渡った。男の子はちらりとウィローを振り返り、小馬鹿にしたように笑った。
「…夜だろ」
「そうね、夜は暗いわ……昔から…」ウィローは慌てて取り繕った。「それにしてもなぜ会わなかったのかしら…あなた、グリフィンドール生だって言ってたわよね?年はいくつ?学年は?」
 男の子は何も答えなかった。一歩遅れてついてくるウィローを軽く一瞥し、暗い森の中に入っていこうとする。ウィローははじめ何も考えずに彼のあとをついて行こうとしたが、得体の知れない鳥がギャーギャー鳴きながら飛び立って行くのを目撃するなり、ためらったように立ち止まった。
「こっちは『禁じられた森』よ。生徒は入っちゃいけないの。戻りましょ。危ないし、森番に叱られちゃうわ…」
「——アイスクリームの店に行こう」
 男の子はウィローの手を取り、乱暴にぐいっと引き寄せた。「この森からサニーデールのファミルトン通りに抜けられるんだ。近道さ」
「それはすごいけど……で、でも…」ウィローは渋った。「勝手に敷地を抜け出すのはよくないわ…」
「バレないだろ」
 男の子はせせら笑い、ウィローを引きずるようにして歩き出した。どうも嫌な予感がしたが、あいにくウィローはデートのアドバイスはもらっていても、強引に手を握ってくる男の子の振り切り方を教えてもらうのを忘れていた。二人は手をつないだまま壮大な巨木の間をすり抜け、暗闇の中にするりと消えた。
 



†††




 外気はヒンヤリ冷えきっていて、身震いしたくなる肌寒さだった。校庭には、夕食を済ませた全校生徒が寝室に引き返そうと寮ごとに列をなしてのんびり歩いている。バフィーはハッフルパフの列を押しのけるように横切り、グリフィンドールの集団の中にウィローの姿がないかとしきりに見回したが、あの目立つ赤毛はここにも見つけられなかった。
「あれぇ、どこ行くの?寮こっちだよ」
 グリフィンドール生の列から飛び出して行くバフィーを見つけ、ザンダーが声をかけてきた。
「あぁ、ザンダー!」バフィーはすがりつくような思いだった。「ウィローを見てない?」
「今夜は見てないなぁ…」
「男と消えたの!」
 するとザンダーは両手を広げ、あからさまに仰天してみせた。
「ウィローって、あのウィローか!?そりゃすごいや。あいつも結構やるなぁ——」
 バフィーは呆れた。短く溜め息を切り、ザンダーを遮って急き込んだ。
「急いで見つけなきゃ!どこ行っちゃったんだろ」
「なんで?——お、そうだ」ザンダーが手を叩いた。「ひょっとしたらそいつが『バンパイア』で、退治しなきゃいけないとか?」
「何なのよ……」
 またこの展開だ。バフィーは思わず立ち止まった。
「学校の掲示板とか、新聞とかにあたしが載ったの?何でみんなあたしがスレイヤーだって知ってるのよ!
「いや。俺は君の思い込みだと思ってる。その理由は、俺が——」
「もういいわ!」
 バフィーは焦れったくなってザンダーを黙らせた。
「とにかく、ウィローの行きそうなとこ教えて!」
 今度はザンダーが止まる番だった。バフィーの真剣そのものの表情をまじまじと見つめている。まるでバフィーが「なんちゃって!」とおちゃらけてくれるのを待っているようだった。
「…マジなのか?」
 心ゆくまでたっぷり愕然としたあと、ザンダーはようやく口をきいた。
「もし見つけないと——」バフィーは冷静に言った。「——明日の朝には死体がもう一つ増えるわ」



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加筆修正 2010年12月5日
ウィローがいけない子です。